釣りバカ外伝

米沢山中・大旗山の家

峠の怪しい茶店Story
遊び、後仕事
出張で米沢ですが、その他にに釣りともう一つ大切な仕事(?)があります。米沢の昆虫写 真家の友人にお目にかかることです。彼の地には貴重なチョウセンアカシジミという蝶も生息しています。メンメのクニ叔父さんと呼ばれている彼も保護活動にも尽力しています。メンメとは米沢弁の幼児語で虫のことです。「山の温泉、山小屋でバーベキューはどう?」と誘って下さって、釣りもしたいし盛りだくさんなので、予定より随分早目に米沢入りをすることにしました。

福島〜山形県境裏街道
山を越え峠も越えて、車のすれ違いがやっとという山道をひた走ります。着いたところは今夜の宿「大旗山の家」です。福島から米沢へは国道13号線で40分ほどで意外と近く、更に高速道路も計画されています。こちらが表街道とすれば、クニ叔父さんが案内してくれた道は、裏街道です。しかし、昔は福島から米沢へはこの道だったようで、かの上杉鷹山公が米沢にお国入りする際にたどった道でもあるのです。一旦、仕入れたビールやトマトをわきの谷川の水に沈め、更に吾妻山方向へ向かいます。目指すは滑川温泉・山の秘湯としてこの頃その名を馳せているところです。本当はそのまた奥の姥湯にとも思っていたのですが、「大旗山の家」情報で、凄い急坂の箇所が工事中で車では無理とのことでした。「今日は何台も救急車、パトカー、工作車が滑川方向に向かったので何か遭難事故でも有ったらしい。」という空恐ろしい話もあり、少し不安な気分で車を走らせます。

怪し懐かし、峠駅ノスタルジー
県境の駅は峠駅、そのままんまの名前です。 駅はあっても集落はなく古びた売店と「力餅」が名物の峠の茶屋があるだけです。'新幹線'が通 過する今の駅ではなく廃線になった旧駅に行ってみました。草ぼうぼうのレールと崩れかけのホーム。人気もないのに秋田犬っぽい白い雑種が1匹駆け寄ってきます。久しぶりの人の姿に嬉しそうにまとわりつき、「このあたりを案内してやるよ」っていっているようです。犬について県境寄りに行くと「ものの怪姫」にでも出てきそうな木造の建物があります。レールを覆ってがらんどうでなつくりが延々と続いています。入口あたりに少し物置がわりに使っている様子があいますが、朽ちかけていて先は真っ暗なんで深入りは危険のようです。レールの雪避けだったんでしょうか?外に戻ると人気のない旧駅周辺を若い女が手にめいっぱいの山ユリを束にして抱え、なおもユリを求めてあたりを歩き回っています。さっき山道を同じ様子で歩いていたのを車から見かけました。大旗でも目撃情報があり、ユリをかかえて随分ほっつき歩いています。妙な女だなあ?ユリに取りつかれたように一人で山中をうろついています。怪しい建造物といい、どうも謎の多い峠周辺です。メンメのクニ叔父さんはというと、古びた売店がご幼少の時お母さんに連れられて虫採りに来た頃と変わってないんで、すっかり思い出にふけっています。夕日を浴びて売店のベンチでぽーっとしているのが、右上の写 真です。さて、そろそろ暗くなるので、物の怪が出る前にバーベキューの支度にお宿へ帰ろっ!!

覗かれちゃった!
不安は的中で滑川温泉手前の大滝(120mもあり更にいくつかの滑滝が続いています)にかかる橋で、それら救急車両に出会います。翌日わかったのですが、登山者が滑落しての死亡事故でした。山また山の山奥へ事故も難路もふみこえて、滑川温泉やっと着きました。一帯に「大旗山の家」のアビコさんのご威光は響きわたっているらしく、「アビコさんの紹介」というと、夕方の忙しい時間なのに宿泊者でもない私たちを
入浴のみでOKしてくれました。露天はレディスタイムとのことでダメでしたが、ウッディーな古色蒼然の大浴場にはいることができました。窓を開け放ち半露天状態で、谷川のせせらぎを聞きながらの湯は最高です。ななっ!?何と目のを人が!窓のすぐ外は吊り橋へゆく通 り道でした。でも気にしない、気にしない!ここは山形、道のくダー!おおらかにゆかなくちゃぁー。


 
次へ続く